nasakoの毎日どっこらしょ

期間限定ドイツ在住中。美しい日々を生存確認的に文字起こし。

グリム童話「ブレーメンの音楽隊」旅の途中で見つけたのは

 ドイツ語を絶賛挫折中の私ですが、独学で自分なりにドイツ語に慣れようと思って子ども向けのおとぎ話Youtubeを見ています。ドイツでおとぎ話といえばグリム童話。その中でも「ブレーメンの音楽隊」は好きだったような気がして一番最初にドイツ語で書き写した物語です。

 

 どんな話か覚えていますか?確かロバが仲間を集めながら音楽隊になるためにブレーメンを目指して旅をする、という話だったと記憶していましたが、実は彼らはブレーメンには到着していませんでした、マジか(笑)でもブレーメンには音楽隊の像があるということで、会いに行きたい!と思い立ちブレーメンへ行くことに。

 

 現在ドイツではドイツチケットなるものがサブスクで買えるのです、月に50ユーロでドイツ国内の列車もバスも路面電車も乗り放題。ただし電車は鈍行のみです。日本でいう青春18きっぷに近いでしょうか。ゆっくりと進む車窓からドイツのただっぴろい景色を見るのが結構好きで、鈍行にも関わらず愛用しています。ICEという名の新幹線もありますが、遅延やキャンセルだらけでどうせ時間通りに辿り着けないし(笑)ちなみに日本でも京都から仙台まで青春18きっぷで旅をしたことがあります。18歳ではなかったですが…浜松で餃子を食べ、熱海で温泉に浸かり、海を眼下に電車で走り、始発の電車から日の出を見て仙台でずんだシェイクを4回もおかわりし、松島で日本の美しさを堪能しました。忘れられない思い出です。

 

 と見事に脱線しましたが、今回も鈍行で行くなら途中の気になる街にも寄ってみたい!ドイツの都市はあまり知らないけどブレーメンまでの乗り換え駅であるハノーファーはなんか聞いたことがある!と思っていたら電車の遅延でハノーファーでの予定の乗り換えができず、40分ほど空き時間ができました。散策で出会えたのはハノーファーの青空市場!ストリートにいくつもキッチンカータイプの屋台が出ています。チーズ屋さんにお肉屋さん、八百屋さんにナッツ屋さん、お魚屋さんにお惣菜屋さん、スープ屋さんにお花屋さんや石鹸屋さんとたくさん並んでいました。私が住んでいる街ではみたことない屋台もあって、なんだか得をした気分です。

 

 そうこうしていると時間が近づいてきたので「まだまだ散策したいけど諦めよう」と思い駅に到着しホームで電車を探しますが、案内板を見る限り私が乗るはずの電車の案内がありません。「なんで???」と1人パニックになりかけましたが、なんのことはない、私が検索する駅を間違えていたのです。次の電車は1時間後…「これもなにかのご縁だろう!」と今度は駅の反対側へ歩いてみることに。そういえばハノーファーで赤い線を辿ると観光名所に連れて行ってくれるという記事を以前に見たなあと思い出し、探してみることに。それしか情報がなかったので出だしの方向を間違えれば最悪出会えないだろうと期待せずにいましたが、数百メートルで出会えて感動!辿っていきます。

 

 その5分後、突如街という海の中に放り出されました。え、え〜!!知らない街だし急に心細っ…!!

 右を見ても左を見ても続きは見当たらないので、諦めつつ歩いているとまた現れてくれて安心。時々途切れてしまうのは致し方ないとして、どうしてあそこにだけ矢印なかったの…?とちょっぴり恨みたくなるくらいにはその後はちゃんと進む方向の矢印がありました(笑)私が逆走していたのかもしれません。

 

 

 この赤いラインがたくさん素敵な場所に連れて行ってくれましたが、その中で知ったのはハノーファーが広島市の姉妹都市であることです。エギディエン教会というところに鐘があるのですが、そこに日本人の方の名前が。そこで出会ったイラン人の方が教えてくれました。鐘は平和の鐘として広島市から寄贈されたそうで、8月6日には追悼式も開かれているそうです。空襲を受けて天井がなくなったそうですが、平和の象徴として大切に残してあるようです。戦争による悲しいニュースが飛び交う昨今、世界の平和を願わずにはいられない場所でした。

 

 そのほかに市庁舎や大小の教会、大きくて新しいレストラン街があるかと思えばその向こうに古い門が残されていたり、緑や川など自然の中に巨大なカラフルアートが出てきたり、新しげなアパートの反対側には旧い街並みが残されていたり。

 

新旧が混在する、素敵な街でしたハノーファー。

 

 最終的に2時間くらい歩いていた気がします、電車も結局2本逃してしまいましたが、今思えば見えないなにかに導かれたのかもしれないと思うくらい、来て良かったなあ。

 

 ちなみにここから電車で1時間かけてブレーメンにはなんとか辿り着きましたが、お宿はまた別の街。疲れに疲れて目的のブレーメンには30分のみの滞在となってしまいました、予定外も甚だしいな。でも会いたかったブレーメンの音楽隊たちに会えてもうそれだけで満足。

 ちなみに音楽隊を目指していた年老いたロバとイヌとネコとニワトリは、道中で力を合わせて追い払った泥棒たちの家が素敵だったのでそこに住むことにしたようです。彼らの第二の人生の始まりがきっと童話になったんですね。ブレーメンに行ったらぜひ会いに行ってみてください。ロバの足に触れて願い事をするといいことがあるとか、ないとか。